この株を買っても本当に利益が出るのかな…?
実際どのくらいの利益が期待できるのか知りたいな。
今日はこんな疑問に答えていきます。
株などは利益が出る場合もあれば、出にくい場合もあります。
これに対し、確率の考え方を使えば事前に期待利益を予想することができます。
ここでは、期待値と期待収益率について、例を使って説明します。
その後、実際の株価のデータを使って期待収益率を計算します。
- 期待値とは何か?
- 期待収益率とは何か?
- 期待収益率を計算してみよう
期待値とは?
期待値とは、ある行動で得られる結果の平均値のことです。
サイコロを1回振った場合の出目の期待値
例として、サイコロを1回振ったときの出目の期待値を考えてみましょう。
出る目は1~6のどれかで、その確率はそれぞれ1/6です。
そのため、出目の大きさの平均値は、1×1/6+2×1/6+…6×1/6 = 3.5となります。
つまり、期待値は3.5です。
しかし、サイコロ1回での出目の期待値が分かっても、あまりメリットはありません。
なぜなら、期待値が3.5でも出る目は結局1~6のどれかで、確率はいずれも1/6。
予想してもあまり当たらないんです。
このように、せっかく期待値を求めても、あまりにもランダムな事象を扱う場合はメリットが低いです。
逆に、もっと結果が収束する場合には期待値を求めるメリットがあります。
サイコロを1000回振った場合の出目の期待値
次に、サイコロを1000回振った場合の期待値を求めてみましょう。
1回振った場合の期待値は3.5でした。
そのため、1000回振った場合の期待値は3.5×1000=3500です。
上の図はサイコロ1000回振った場合の出目と、その起こりやすさ(確率密度関数といいます)を表しています。
期待値である3500近辺で高く、3300以下や3700以上ではほとんど0になっています。
このような場合では、「だいたい3500」と考えても±6%程度(3300以下、3700以上の確率を0とする)の精度で結果が予測できます。
1回では結果がバラバラになることでも、数を多く集めれば結果は収束します。
こんな場合には、期待値の計算だけでもある程度結果を予測できます。
さらに、結果のばらつきまで予測したい場合には、別に説明する「標準偏差」についても知っておくことをオススメします。
期待収益率とは?
期待収益率とは、「ある資産を運用した場合に得られる収益の平均値」を表します。
要は、資産運用をした場合に得られる収益の平均値のことですね。
上の表は、トヨタ自動車株の年毎(2011~2020年)のデータです。
この表を使って、トヨタ自動車株10年間の期待収益率を計算してみましょう。
期待収益率を計算してみよう
期待収益率の計算は大きく分けて3ステップです。①各年の収益額の計算。②各年の収益率の計算。③期待収益率の計算。それぞれ詳しく見てみましょう。
STEP1 各年の収益額を計算
各年の収益額を計算します。
収益額は2つに分けられます。1つ目は株価の値上がり額。これは、各年の終値と始値の差から計算できます。2つ目は配当金額。株価×配当利回りにより計算できます(正確には配当月の株価×配当利回りですが、ここでは簡単に各年の株価終値×配当利回りとしています)。
この2つの金額を合計すれば、各年の収益額が計算できます。
STEP2 各年の収益率を計算
次に、各年の収益率を計算します。
収益率は、「元となる金額に対して、どれだけ収益があったか」を表す値です。
今回の場合は、(各年の収益額)÷(各年の始値)×100で計算することができます。
STEP3 収益率の平均値を計算
最後に、期待収益率を計算します。これは、各年の収益率の平均値を計算すればOKです。
以上より、トヨタ自動車株の期待収益率は14.3%と計算することができました。
1年間で利回り14.3%と聞くと非常に魅力的に見えます。
しかし、この10年間の収益率は19.89~55.69%と非常にばらつきが大きく、投資で資産を大きく増やした人もいれば、逆に減らしてしまった人もいると思います。
※補足ですが、2010年はリーマンショックが起こった2009年の翌年です。そのため、2010年はそもそも株価が低かったです。2011~2020年の日経平均株価は年率は15%程度で伸びていたことから、特にトヨタ株が好調だったとは考えにくいです。
このように、期待収益率を計算することによってどのくらいの利益が期待できるか?を予想することができます。
計画的に資産を運用したい場合に役立つと思いますので、上の例を見ながら、ご自身の投資している銘柄でも計算してみてください。